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南イタリアの世界遺産メルヘン調のアルベロベッロ

イタリアは、世界遺産の数は世界一を誇っている。それら世界遺産は「不思議」と置き換えてもいいぐらいユニークなものが多く、旅人の想像力を刺激する見どころがいっぱいだ。今回、とんがり屋根の住居が有名なアルベロベッロの町を歩いた。

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石灰岩でできたとんがり帽子の家 靴の形をしたイタリアの、踵部分に位置するプーリア州。オリーブ畑が続く乾いた大地をドライブしていると、白く輝く「とんがり帽子」の可愛い家々が現れ始めた。なんともメルヘンな風景が続く。アルベロベッロはもうすぐだ。

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 この家々がプーリア州独特の住居である。屋根がひとつで部屋がひとつの家をトゥルッロと呼び、家を建て増すとトゥルッリ(複数)と名付けられる。 起源については諸説があるが、メソポタミア周辺からギリシャを経て南イタリアに伝わったという説が有力だ。語源的にもギリシャ語で「ドームを持つ円形の建物」というトロスに由来する、といわれる。 アルベロベッロはそのトゥルッリが大集合し、ひとつの町を形成している。奇妙に聞こえるこの地名は、イタリア語のアルベロ(木)とベッロ(美しい)の合成語で、その昔、美しい樫の林が広がっていたので、この名が付いたという。

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 アルベロベッロの町を構成する旧市街はモンティ地区アイア・ピッコラ地区に分かれている。このふたつのエリアに1500を超えるトゥルッリがびっしりと並んでいる。眩いばかりの白い壁。茶色の屋根のコントラストが美しい。 モンティは町の南に位置し、最も大きなトゥルッリのエリアである。細い路地の両側には肩を寄せ合うように「とんがり帽子」のみやげ屋が軒を連ねている。 「トゥルッリがユニークなのはすべて石灰岩の単一材料でできていること。この地域の地下には石灰石の層があります。そこからいろいろな形で石を切り出し、モルタルを使わずに積み上げて家を造ります。支えも骨組みもないんですよ。でもドームは均衡を保っています」とガイドの説明があった。 面白いのは屋根に描かれている不思議なシンボル。月や星、三角、逆卍、三重丸、ハートなどが描かれている。 「これらのシンボルは、土着の宗教、異教的シンボル、太陽信仰、星占いなどが混じっています。一種の魔除け、太陽崇拝と考えられています」。

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 ポポロ広場の東側に広がるアイア・ピッコラ地区に行ってみた。この名前は「小さな麦打ち場」という意味で、農村集落の意味合いが強いエリアだ。みやげ屋も少ない。家の前で自転車を修理している老人がいる。壁をモップで拭いている少年もいる。 通りで会った女性に、図々しくも部屋を見せてくれないかとお願いしてみると、いとも簡単に承諾してくれた。玉のれんそっくりのスダレをくぐり一歩中に入ると、明るくて清潔というのが第一印象。想像以上に涼しい。1階が居間と寝室になっていて、階段を上がったところが倉庫になっていた。その女性は「壁の厚さは80センチから2メートルもあり、内側に石灰を塗っています。こうすると光が入らない部屋を明るくしますし、害虫の侵入も防ぎます。壁が厚いので外気が伝わりにくく、夏は涼しく冬は暖かいんですよ」と説明。外部とは4度ぐらいの温度差があるという。小さな空間を、実に機能的に使う庶民の知恵に感心した。(写真: ミニチュアを売るみやげ物店の軒先) 

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 アルベロベッロは、まるで異常繁殖したキノコの群れに占領されているようで、SF世界にワープしたような気分にさせられた。南イタリアの不思議空間のひとつである。

文・写真●森本剛史、Text & Photo by Takeshi Morimoto
協力●JTBトラベルライフ編集室 取材協力●イタリア政府観光局, アリタリア航空

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