灼熱の「デス・バレー国立公園」 何も育たないアメリカで最も暑い場所!

ラスベガスから車で2時間ほどのデス・バレー国立公園。
ネバダ州とカリフォルニア州との州境を越えたあたりに位置している。

その名のとおり生物が生きられないという死の谷。
かつては金や銀を求めて訪れ、過酷な自然に命を失った人たちもいた。
今は国立公園として標識などが整備されていて、ラスベガスやロサンゼルスから訪れる人が多い。

1849年、ゴールドラッシュにわく金鉱地へ向かっていたグループが近道をしようとしてこの谷に迷い込み、
その後1ヵ月近くさまよった。想像を絶する酷暑と水不足によって死者も出たが、勇気のある2名が
脱出ルートを見つけて残りを救出した。彼らが谷を見下ろす峠にさしかかったとき、
誰かがつぶやいた「Goodbye, Death Valley……」。
それがこの谷の名前の由来とされている。
◆アメリカで最も暑い場所◆
車から外に出ると、とたんに体中の水分が奪われていくような、乾燥した暑さに襲われた。
「暑い…」自ら発した声も、どこかに吸い込まれてしまいそうな錯覚に陥った。5月半ばに訪れたデス・バレーは、
暑いというより熱いという感じだ。 あたりはどこまでも荒地が広がるばかりで、何も聞こえない。無音なのだ。
虫の音も動物の鳴き声も聞こえず、生き物に出合わないことに気付かされた。
デス・バレー=死の谷と名付けられた意味が、ひしひしと伝わってくる。

真夏は50℃を超える日が珍しくなく、最高気温57℃を記録したこともあるという。
アメリカで最も暑い場所といわれ、1年を通じてほとんど雨も降らない。水もなく、故に何にも育たない
広大な土地を旅することは、まさに死を意味したであろう。
さらに、あたり一帯は海面下にあるというので驚いた。確かにドライブ中、耳が痛く感じた。
ふと見ると、空のペットボトルが、気圧のためペコッとへこんでいた。
◆ゴールドラッシュ夢の跡◆
西部開拓時代、ゴールドラッシュに燃える人たちが東から西へ西へと大移動をしていた。
そして数多くの人々が、ここで命を落としたという。 現在は、エアコンで十分に冷えた車で
移動することは容易だが、当時は幌馬車での移動だったわけだ。
1849年、カリフォルニアへ向かう移民の幌馬車隊が迷い込み、何人かの仲間も失って脱出する際に
「デス・バレー」と言ったことがこの名の始まりのようだ。
それでも、その後この地に住み、金や銀などの鉱物資源を掘って生計を立てていた人々がいたのだ。
駅舎や銀行、学校の跡、廃屋となってしまった民家が点在するネバダ州最大のゴーストタウン、
リオライトがそれを物語っている。

リオライトには、いくつかの幽霊のオブジェがある。
人が白い布をかぶったような形をしているが、中身がない。

それがゴーストタウンの「住人」として、さりげなく遊んでいるようでもある。
こんなアメリカ人のジョークが詰まった観光地となっていて面白い。
◆ 海抜 マイナス85.5mの灼熱の雪景 ◆

白いごつごつとした眺めが広がる「デビルズ・ゴルフコース」を過ぎてさらに進むと、
見渡す限り真っ白な大地、まるで雪景色を思わせるような風景が目の前に広がった。
バッドウォーター・エリアである。かつての塩水の湖が、すべて干上がったものだ。
ここでは車を止めボードウォークを歩けるようになっている。
一部には池のように水がたまっているところもあるが、塩の結晶が水面のほとんどを
覆っていて、見るからにしょっぱそう。

真っ白な大地に誘われ歩いてみたが、とにかく暑い。はるか遠くまで歩いている人もいたが、
先を急ぐ好奇心より冷房が恋しくて、車に戻りたくてたまらない。駐車場のほうを振り向けば、
小高い崖のかなり上のほうに「SEA LEVEL」の案内板が見えた。ここは海面下85.5m、西半球で最も
低いらしい。ただ、渓谷の谷底ではなく平らなので、海面下とは思えず不思議な感覚だ。



バッドウォーターとは、その昔、地図を作っていた男が、砂漠の中を旅し続け、
やっと水を見つけて駆け寄ったら、塩分が強くてまったく飲めなかった。
そこで、警告を込め「バッドウォーター」と地図に記したことで、この名が付いたとか…。
とにかくこの地を訪れる際には、ガソリンは満タンに、水も忘れずに持っていくことをおすすめする。

文●足立尚子 Text by Hisako Adachi
写真●関川由都子 Photo by Yutsuko Sekigawa
協力●JTBコミュニケーションズ トラベルライフ編集室
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