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スペインの異邦 ガリシア地方 Galicia, Spain

グルメ、レストラン

マドリッドからイベリア半島を北西に飛ぶと、最初はメセータと呼ばれる赤茶けた台地が続くが、ガリシアに近づいてくると急に緑が増えてくる。さすが「グリーン・スペイン」と呼ばれることに偽りはない。緑に覆われているのは、地元で「オルバーリャ」と呼ばれる、こぬか雨のせいだろう。年間の平均降雨日は125日。ガリシアでは雨が絵葉書のテーマになるほどだ。ノーベル賞作家ガルシア・マルケスはコロンビア人だが、ガリシア人の血を引いていて「ガリシアの雨」というエッセイを書いている。

地図上紫色の部分がガリシア地方

ガリシア州は大西洋に面し、ポルトガルと隣接している。面積は九州を一回り小さくした大きさで、人口は約280万人。18世紀後半から南北アメリカへ移住する人が増え、特にアルゼンチンやブラジルへの移民が多いことで知られる。アルゼンチンではスペイン人のことを「ガジェゴ(ガリシア人)」と呼ぶほどだ。キューバのカストロ元首相の父親はガリシア出身である。ガリシアでは古代ケルト人の住居のことを「カストロ」といい、カストロ姓が少なからずいる。

 

ラテンの国のケルト文化圏

ガリシアはスペインの中でも異邦と呼ばれている。それは珍しいケルトの血を受け継いだ人たちが住んでいるからだ。イベリア半島には紀元前3000年ごろから北アフリカからやって来たイベロ族が定住した。そこへ紀元前900年頃、中央ヨーロッパからピレネー山脈を越えてケルト族が到来してくる。ケルト族はイベリア半島の西部と北部(現在のガリシアとポルトガル)に住み着いた。ケルト族とイベロ族の混血が進み、ケルト・イベロ人となり現在にいたっている。その後ローマ帝国による支配が続いた。

名物のおっぱいチーズ

ケルトといえば、スコットランド、ウェールズ、アイルランド、マン島、ブルターニュ(フランス北西部)などが思い出されるが、ガリシアもそのケルト文化圏のひとつなのだ。ガリシアの人たちは驚くほど素朴でホスピタリティに富んでいた。言葉が通じなくとも、一言ガリシア語の単語を発すると、シャイな面を投げ捨て実にフレンドリーな人間に変わる。そして、あれこれ世話を焼いてくれるのである。このあたりがアイルランド人気質に似ていると感じた。

「ガイタ」と呼ばれるバグパイプでお出迎

ガリシアで私たちを出迎えてくれたのが、「ガイタ」と呼ばれるバグパイプだった。あのスコットランドの民族楽器だ。ここにもケルト文化の一端が見ることができる。

ガリシアのプロサッカー界にもケルト(セルチック)を意味する「セルタ」というチームもあるくらいだ。しかしガリシア語にはケルトの言語の影響はないようだ。これがアイルランドやスコットランドとの違いなのだろう。ガリシア語はスペイン語とポルトガル語が混じった言語のようで、発音や語彙に類似性が見られた。

 

世界遺産の巡礼の道 熊野古道と「姉妹道」

サンチャゴ・デ・コンポステーラのゴール、大聖堂

もうひとつ、ガリシアで特筆すべきことは、州都のサンチャゴ・デ・コンポステーラが、ローマ、エルサレムに続く世界三大キリスト教の聖地であること。9世紀に、この地でキリストの十二使徒聖のひとりヤコブの墓(真偽は不明)が見つかったことに起因する。

サンチャゴ・デ・コンポステーラに到着した巡礼者たち

フランスからピレネー山脈を越えてこの聖都に続く巡礼道は「カミーノ」と呼ばれ、世界でも珍しい「道」の世界遺産だ。私の故郷の熊野古道とは同じ巡礼の道つながりで「姉妹道」となっている。

姉妹道の熊野古道を思わせる巡礼道

フランスとの国境からこの聖都までは約800kmを40日間で踏破する。女優シャーリー・マックレーンもこの道を歩いた。彼女の著作「カミーノ 魂の旅路」を読んだ方も多いだろう。

巡礼道の名物タルト(アーモンドケーキ)

 ガリシアを旅して感動したのは、魚介類が美味しかったこと。この州で国内漁獲量の4分の1を占めている。ソースなどを使わずに、ただ焼いたり湯がいたりしているような素朴な料理が多かった。食材が素晴らしいのだ。

活気ある魚市場

ゆでダコのピンチョス(つまみ)

地元産のアルバリーニョ種の高級白ワインは国際的にも評価が高く、シーフードによく合う。口に流し込み、舌で転がすと芳醇な香りが広がり、喉を伝って落ちていった。その地方特産のワインを試し、国民性をあれこれ想像するのは、旅の醍醐味のひとつである。

ワインも豊富だ

【文・写真】
森本剛史( Takeshi Morimoto)

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