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旅のエスプリ

ペリー提督の末裔が経営するワイナリーとは? カリフォルニアワイン台頭のきっかけ「パリスの審判」

目からウロコのトラベル・コラム「旅のエスプリ」

旅のエスプリ Vol. 6

ペリー提督の末裔が経営するワイナリーとは? カリフォルニアワイン台頭のきっかけ「パリスの審判」
黒船ワインをお土産に

当コラムでも万次郎の回で黒船の話が出ましたが、黒船と言えばマシュー・ペリー提督。彼がいなければ今の日本はないと言っても過言ではないでしょう。その日本の転機を作った人物の末裔が経営するワイナリーが、ニューヨーク州グリーンポート近郊にあります。その名も「THE OLD FIELD」。
[左]ザ・オールド・フィールド・ワイナリー/[右]ワイナリーの広大な敷地
黒船ラベルのワイン1974年にクリス・ベイズさんがワイナリーをオープンするまでは、ここでは販売用の葡萄が栽培されていました。ワイナリーをスタートさせてから、最初にピノノワール、次にメルロー、さらにカベルネフラン、シャルドネと品種を増やしていき、現在ではスパークリングワインも扱っています。

もともと、クリスさんの曾祖母にあたるクララ・ラングさんが第一次大戦中に土地を購入したのが始まり。ラング、ベイズと誰もペリー提督の名字を名乗っていませんが、クリスさんのお嬢さんの名前がペリーさん。ファーストネームにご先祖様の名前を付けたということのようです。

長閑で静かな環境にある家族経営のワイナリーですが侮るなかれ、これまでに数多くのテレビ、雑誌などに取り上げられて注目を集めています。ちなみにオールドフィールドの公式ホームページには、どこにもペリーのことが記載されていません。それはきっとご先祖様の名前に頼る必要のない、実力派ワイナリーだからですね。同ワイナリーでは黒船の絵のラベルのワインが購入できます。

ちなみにペリー提督、大のお酒好きだったと伝えられています。日本を開国させた4年後には肝臓悪化で他界しているのです。そのお酒好きの血が、子孫のワイナリーの成功を支えているかどうかは定かではありません…。

ワインの世界地図変えた「パリスの審判」

ワインつながりで、もう一つご紹介したいのが、今度は大陸の反対側、カリフォルニアワインに関するエピソードです。ワイン好きの方なら「パリスの審判」という一大事件を聞いたことがあるでしょう。これは1976年に開催されたパリでのブラインドテイスティングに関する実話です。

このテイスティング、パリでワインショップとワインの学校を運営していたイギリス人のスティーヴン・スパリュアによって主催されました。常連客からのアメリカ土産にカリフォルニアワインをもらう機会があった彼は、「ワインと言えばフランス産」と信じられていた当時、カリフォルニアワインの可能性を感じ始めていました。

そこでアメリカ建国200年のタイミングを祝うために、フランスワインとカリフォルニアワインとのバトルを目的にした試飲会を考えついたのです。もちろん、ブラインドですから審査員たちにはブランド名を伝えずに採点してもらう趣向です。

スパリュアは赤ワインと白ワインの部門、それぞれに10本のワインを選択、うち6本をカリフォルニアワイン、4本をフランスワインという割合にしました。カリフォルニアワインの割合を多くしたのは、フランスワインの敵ではないとされていたカリフォルニア勢を、建国200周年の意味合いから少しでもランクインさせるためでした。スパリュアは正直なところ、「カリフォルニアが2位から4位に1つでも入れば十分」と予想していたそうです。
スタッグス・リープ・ワイナリー
ところが、何と、フランスの有名ワイナリーやレストランのオーナー、ワイン雑誌の編集長らから成る審査員たちが採点した結果、赤、白共にカリフォルニアがトップを取ったのです。

白の1位はシャトー・モンテレーナのシャルドネ、赤の1位はスタッグス・リープ・ワインセラーズのカベルネ・ソーヴィニヨン。思わぬ結果に試飲会の会場は騒然としました。

そして、試飲会を取材していたタイムズのパリ特派員ジョージ・テイパーによって、この模様が「パリスの審判」という記事となり、全世界のワイン愛好家を衝撃の渦に巻き込むことになります。
[左]シャトー・モンテレーナ・ワイナリー/[右上]テイスティング・ルーム[右下]1位になったシャトー・モンテレーナのシャルドネ
この「パリスの審判」の一件以来、「フランスは偉大なワインを生産するための唯一の産地ではない」ということが人々の認識となり、フランスのワイナリーのオーナーたちは姿勢を改める一方、カリフォルニアのワイナリーは高く評価されたことで益々研鑽を積み、新たな名声を獲得することになるのです。

「パリスの審判」の10年後にはフランス勢のリベンジがかかった試飲会が再度開催されます。しかし、何と、その時も1位はカリフォルニアのクロ・デュ・ヴァルに奪われてしまいました。
[左]クロ・デュ・ヴァル・ワイナリー/[右下]テイスティング・ルーム
ワインの世界地図を変えたと言える一大事件、後に「ボトルショック(日本での公開時のタイトルは「ボトルドリーム」)という映画にもなり、カリフォルニアワイン同様、名作として高い評価を受けました。

シャトー・モンテレーナ、スタッグス・リープ・ワインセラーズ、クロ・デュ・ヴァルの3軒は今や押しも押されもせぬ一流ワイナリーです。ワイン好きな方は是非、そうでない方もこの逸話を思い出しながら、一度足を運んでみてください。

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【参照サイト】
The Old Field Vinyard
59600 New York 25 Southold, NY 11971
(631) 765-0004
www.theoldfield.com

Stag's Leap Winery
5766 Silverado Trail Napa, CA 94558
(707) 944-2020
www.stagsleap.com

Chateau Montelena Winery
1429 Tubbs Ln Calistoga, CA 94515
(707)942-5105
www.montelena.com

Cros Duval Winery
5330 Silverado Trail  Napa, CA 94558
(707) 261-5251
www.closduval.com

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関 克久

関 克久

Sales & Marketing Div., GM at JTB USA Inc.,
旅行のプロデュースに携わって30年。趣味は写真。「百聞は一旅に如かず」旅に出て初めてわかるのは、実は故郷の良さなのかも知れません。旅は百薬の長がモットーです。
関 克久

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