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アメリカ人は日本人の倍以上「お花」を買う。 チューリップの球根1つが$25,000もしたお花のバブルの時代があった?

目からウロコのトラベル・コラム「旅のエスプリ」サンディエゴ

目からウロコのトラベル・コラム「旅のエスプリ」

アメリカ人はお花が好き。日本人の2倍もお花を買う。

東西を問わず、花は生活に潤いを与えてくれる必需品とも言えます。アメリカ人が一番花を買う時期は、クリスマス、母の日、バレンタインズデー、イースター、サンクスギビング、父の日の順番で、1年間に花に使う額も日本人の2倍の$100以上(1人あたり)です。いかに花が生活に溶け込んでいるのかがわかりますね。

さて、ロサンゼルスから車で南に1時間半ドライブすると、サンディエゴの少し手前にカールスバッドというビーチ沿いの裕福な街があります。最近、名古屋にもできて話題になっているレゴランドもこの町のアトラクションの1つですが、春先になるとラナンキュラスという花が一斉に咲き誇る「フラワー・フィールド」という花畑も有名です。

カールスバッドにあるフラワーフィールド

カールスバッドにあるフラワーフィールド

50エーカーの広大な土地に色とりどりの花が帯状に植えられていて、遠くから見ると原色の絵の具で塗り潰したような壮大な眺めが楽しめます。 3月から5月の上旬までが見ごろで、毎年10万人から20万人もの来園者が訪れ、クラフトフェア、ライブミュージック、フラワーデザインワークショップなど様々なイベントで賑わいます。

太平洋を臨む広大な土地に咲き誇るラナンキュラ

色とりどりのラナンキュラスが咲き誇る

太平洋を望む広大な土地

太平洋を望む広大な土地

元々はラナンキュラスの球根を栽培し全国に出荷するための花畑ですが、太平洋を臨むリゾートホテルも隣接し、レストランやプレミアムアウトレットもあり、近くのシーワールドと並ぶ、観光地にもなっています。

お花をバックに写真撮影をする人も多い

お花をバックに写真撮影をする人も多い

1か月で30万人が訪れるワシントン州のスカジーバレー・チューリップフェスティバル

花をテーマに町おこしに成功したのは、カールスバッドだけではありません。花と言えばチューリップですが、オランダ移民の多いバージニア州、ミシガン州、ワシントン州などにはチューリップ栽培の農家が多くフェスティバルが毎年催されています。

キャロル・ローソン農園のチューリップ

スカジーバレーにあるキャロル・ローソン農園のチューリップ

一番有名なのがシアトルとバンクーバーの真ん中に位置するマウントバーノンという町のスカジーバレー・チューリップ・フェスティバル。1984年に町の商工会議所の有志で3日間のイベントとして細々と始めたのが始まりで、毎年訪問者が増え続け、今ではアート&クラフトショー、コンサート、ローカルの漁師を訪ねるシーフードツアー、チューリップ畑を駆け抜ける10kマラソン等々、様々なイベントありで、なんと30日間で30万人以上の観光客が訪れるまでになりました。

アダル・パチャンサンガンスリ農園

アダル・パチャンサンガンスリ農園

最近の目玉は地元の特産、キワニスサーモン・バーベキューで合計で12,000食を売り上げてブランドになっているそうです。イベントもさて置き、やはり300エーカー(約40万坪)もの広さのチューリップ畑に1,000万株以上のチューリップが咲き誇る景観は、やはり一見の価値ありです。

毎年、写真コンテストが開かれている。

毎年、写真コンテストが開かれている

500年前にあったチューリップバブル。球根1つがなんと$25,000にまで急騰。

ここで、話を中世のヨーロッパに移しましょう。チューリップがヨーロッパに伝播されたのは、1554年に神聖ローマ皇帝フエルディナント1世がオスマン帝国のスルターンのもとに派遣した大使、オージェ・ギスラン・ブスベックがウィーンに球根と種子を初めて送った事によります。 直ちにアムステルダムに広まり人気を博し、栽培が本格的に開始されます。当時、オランダ東インド会社はポルトガル、スペインに替わって香辛料の貿易で黄金時代を迎えつつあり、富を蓄えたアムステルダムの商品にとって、今までの花に無い鮮明な色合いをもつチューリップは、成功者のステータスシンボルとして、高値で取引されるようになります。

高値で取引されたチューリップ

高値で取引されたチューリップ

栽培家は、新品種に高貴な名前を付け、当時最も評価の高い品種は「Admirael  van der Eijck (フォン・デル・アイク提督)」という名前がつけられました。 誰もが欲しがった品種は、複雑な線や形の縞模様の色が混ざり合ったチューリップでしたが、今ではこれらはウィルス感染によるモザイク病という事がわかっていて当時の新品種のほとんどは絶滅しています。 オランダだけでなくフランスでもチューリップの人気が高まり、価格は上がり続け投資家が先物取引をするようにまでなります。要するに、現物取引でなく将来の売買の権利を買うという一種のデリバティブ、オプション取引の市場が形成されていきます。 いわゆるチューリップバブルという時期です。

チューリップバブルはもう起きないだろうが、バブルは繰り返す!?

チューリップバブルはもう起きないだろうが、バブルは繰り返す!?

記録によると1個の球根が2,500ギルダーで購入されたともありますが、当時の1ギルダーは約10ユーロだといわれているので、球根1つが$25,000もした事になります。好景気に沸くオランダでは、市民は元より農民、猟師、煙突掃除人、洗濯婦までがチューリップに投資していたそうです。しかしこのバブルは高値で買う相手が居なくなってしまった事から1637年をピークに暴落し、投機バブルは瞬く間に弾けてしまいました。

船乗りの小話としては、ある商人のチューリップ球根をタマネギと間違えて食べるために持って行ったという逸話があります。商人とその家族は船乗りを直ぐに追いかけたが、見つけたときには「自分の船の船乗り全員に一年間大盤振る舞いできるほど」高価な朝食を食べている最中であったとの事。その船乗りは球根を食べた咎により投獄されたそうですが、実際には、チューリップの球根は毒があるそうなので、真意の程はわかりません。 日本では1986年から1991年のバブル景気が記憶に新しいですが、チューリップバブルは他人事ではありませんね。

ちなみに、日本でのチューリップの球根の生産量は新潟県と富山県で98%を占めているそうです。新潟の胎内市、五泉市、富山の栃波市などでチューリップ祭りが催されていますが、いずれも趣向を凝らしたイベントが目白押し。春の訪れをチューリップやラナンキュラス鑑賞で満喫されてみてはいかがでしょうか?

Carlsbad Flower Field
http://www.theflowerfields.com/

Skagit Valley Tulip Festival
http://www.tulipfestival.org/

 

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関 克久