コロラド州の真ん中、グランドジャンクションとデュランゴの間の街、モントローズから30分ほどでいけるブラックキャ二オン国立公園は、「エッ! こんな国立公園あったの?」と言うほどあまり知られていません。周りに何もないような一本道を延々と登って、道に迷ったかな? と思う位の時にサインが見えてきます。
ですが、ここは地質学の宝庫とも呼ばれていて地元のガ二ソンにあるウェスタン・ステート・カレッジ(コロラド州立大学)地質学部の野外研究室とも呼ばれているそうです。
ビジターセンターもちゃんと完備されています。 ここからは、地球にこんな深い断崖絶壁があったのかと思うほどの絶景が見渡せます。 歩いて10分ほどで、ガ二ソン・ポイントに出れます。
ガ二ソンポイントからは、700メートルもの垂直に切り立ったがけっぷちを直ぐ眼下に臨むことできます。実際にはかすかな風の音しか聞こえてきませんが、この光景を見ると、巨大な岩を削り取った莫大なエネルギーが、グワングワンと音を立てているような錯覚に陥りいるほどの迫力を感じます。
高さ ほんの数センチくらいの高山植物。 ペンキを塗ったような鮮やかの黄色でした。
コロラドの空は、どこまでも抜けるような青です。 雲が鮮やかな白で、また様々な形をしていて楽しめました。地上の風景がゆっくりしか変化しないからかもしれませんが。
ここはすぐ目の前に、あまりにも大きなスケールの断崖が展開するので、28mmの広角レンズでも全てを撮影することはできません。18mm以上の広角レンズが必要です。
地質学の宝庫と呼ばれるのは、一般的に地球の奥深くにしか存在しない約20億年も前の先カンブリア紀に形成された変成岩や火成岩を見ることができるからだそうです。 ブラック・キャ二オンの名の由来となった黒い壁(片麻岩)は片岩と呼ばれる変成岩がブレンドされているのですが、ところどころにピンク色の帯のようなものを見ることができます。
これは、巨晶花崗岩と呼ばれる火成岩が地熱による圧力で地中からマグマとして岩の割れ目を昇ってきてゆっくりと冷えて固まったものだそうで、長い年月の大陸移動で幾多にも複雑に折り曲がっています。 まるで、壁に絵を描いたように見えます。
ペイテッド・ウォール・ポイントと名がついた、ビューポイントがありますが、そこからこの雄大な自然の芸術を眺望することができます。
三畳紀の終わり頃からジュラ紀の初期、いまから1億9千万年前頃、超大陸のパンゲア大陸がローラシア大陸とゴンドワナ大陸へ別れはじめ、ローラシア大陸がさらに分かれて今の北アメリカ大陸になったのだそうで、プレートが
西に向かって移動する際に巨大な太平洋プレートとぶつかり序々に地層の皺寄せが始まり、コロラドまで皺寄せが到達したのが約6千万年前だそうです。活発な隆起活動と火山活動で水源となる高地が生まれ、東部にあるワサッチ山塊とエルク山脈の雪解け水が現在のガ二ソン川を作り出したのが、約1千万年から1千5百万年前との事。 この膨大な雪解け水の力と、当時の台地の隆起活動が偶然にも重なって水の流れを強くし、1千万年という地質学上では瞬きをするような短い間にこの深い渓谷を刻んだのだそうです。なんとも、気の遠くなるような話ですが、この眼前に広がる巨大な渓谷を見ると地球の膨大なエネルギーのモノ凄さを実感できます。
グランドキャニオンやモニュメントバレーと比べるとマイナーな国立公園で、入り口のチェックポイントも寂しい感じですが、ここは正に知る人ぞ知る、見た人にとっては何とかこの凄さを伝えたくなる国立公園です。「ブラック・キャ二オン国立公園」是非、訪れてみてください。
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