夏の間の改装工事を終えて、MoMAが新装オープンしたので早速行ってみました。
改装を担当したのは、ハイライン、SHEDなどを手掛けた人気の建築会社
Diller Scofidio & +Renfro (https://dsrny.com/)
費用が4億5000万ドルです。(日本円で472億円くらい)
最近のニューヨーク建築ブームのお値段を聞くことが多かったので、額を聞いて思わず「お値打ち」と思ってしまいました。47,000スクエアフィートが追加され広くなりました。日本でいうと4,366平方メートル、1321坪です。
2004年に改装されたときに取り入れられた建築家谷口吉生さんのデザインはほぼ生かされたままでしたので、同じ日本人としてなんとなく安心してしまいました。
大きな変更点はこちら
1、 展示スペースの拡大 約30%増
https://www.moma.org/momaorg/shared/pdfs/docs/visit/Visitor_Guide_10_10_19.pdf
2、 展示方法の変更
大きく時代ごとにまとめ、絵画と彫刻などを分けずに混在させる。REMIXED手法の取入れ。(これについてはのちほどもう少し詳しく説明します)
3、 常設展のスペースを減らして、展示物を6か月ごとに変えていく
現在では約20万点の芸術作品を所蔵しているが、実際展示ができているのは19%以下。
例外としてギャラリー515はモネ用の常設展となりそうです。
4、よりダイバーシティに配慮されていて、女性、アジア、アフリカ、南米出身の作品が増えました
こちらはニューヨーク出身のアメリカ人女性でFlorine Stettheimer の作品(509)
5、大人用の体験コーナーができました(2階)
The Paula and James Crown Creativity Lab
6、体験型の新しいスペーススタジオができました
The Marie-Josée and Henry Kravis Studio
1/5までオブジェから森林の音が聞こえるスタジオになっています。
7、コートチェックの入り口が大きくなるなど、全体的に導線を考慮して混雑を避ける設計をとりいれ快適に
年間300万人が訪れるので今回の重要ポイントです。
8、開館時間
毎日 10:00AM-5:30PM
今までは毎週金曜日のみ夜9時まで開館していましたが、加えて第1木曜日も夜9時まで開くようになりました。
今回の改修の意図の2番でご案内したREMIXEDとは?
ピカソの部屋にFaith Ringgold アフリカ系アメリカ人女性の絵画「DIE」が展示されています。ピカソのゲルニカの影響を受けた彼女が戦争をテーマにして別の作品を作成しました。いわれてみるとゲルニカを思い出します。それをピカソの他の作品と並べているのがREMIXEDの一例です。
シュールレアリズムの部屋(517)では、ダリ、フリーダカーロなどが一緒に展示されています。シュールレアリズムは日本語では超現実主義と訳されています。
またギャラリー518ではシュールレアリズムの美術史と題してルソー、マティスなどシュールレアリズムに影響を与えたアーティストをまとめて展示をしています。REMIXEDとはいえ、見逃せない作品は改修前と同様に4階、5階に集中しています。とくに501のお部屋は19th Century Innovation というテーマでゴッホ、スーラ、セザンヌなど印象派の有名作品がな並んでいますので、初めて訪れる方は、ここは見逃さないようにしましょう。
各部屋のカテゴリー分けの方法や、そこに所属する作品にMoMAのキュレイターの自己主張が感じられて、意外な組み合わせに驚いてみたり、新たな面白さがあちらこちらにあふれていました。これが、新生MoMAの醍醐味でしょうか?というのが個人的な感想です。
さらに部屋をまたいだREMIXEDの例としては、ピカソなどが展示されているキュビズムの部屋(503)の前にX線写真を含む写真の部屋(502)があります。これはこの後のキュビズムに影響を与えているんですよ、ということを示唆しています。
名作だけ追いかけて点で行ってしまうと今回の改修のよい点を見逃してしまうことになりますので、見るほうも気合がはいります。
話はREMIEXEDからそれますが、フリーダカーロの作品の隣に鏡があります。これは、彼女が自画像を友人にプレゼントするときに隣に鏡をおいて、そこに映る友人といつも並んで一緒よということを伝えたかったそうです。
友人がもっていた作品は鏡と一緒に美術館に寄贈されました。
MoMAの歴史を振り返り、古いものを見せる部屋もあります。
日本人、オノ・ヨーコや草間弥生などの作品もいくつか見ることができました。
草間弥生とウォーホールの作品が一緒に展示されているFrom Soup Cans to Flying Saucersという部屋があります。(412)
草間弥生と交流のあるDonald Juddの作品も隣の部屋(413)に展示されていて、そこにミニマリズムといく記載がありました。自分には新しい言葉だったので、意味を調べると、完成度を追求するために、装飾的趣向を凝らすのではなく、むしろそれらを必要最小限まで省略する表現スタイル(様式)だそうです。
まだまだ書きたいこともあり、また見落としているところもたくさんありますので、何回か通ってみたいと思います。皆様もぜひ新しくなったMoMAで新しい発見を見出してみてください。お勧めです。
by くっしー
MoMA
11 W 53rd St.
New York, NY 10019
https://www.moma.org/
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