旅のエスプリ

これは地上に描いた星座なのだろうか? 超弩級の不思議な世界遺産「ナスカの地上絵」

目からウロコのトラベル・コラム「旅のエスプリ」

旅のエスプリ Vol. 32

これは地上に描いた星座なのだろうか? 超弩級の不思議な世界遺産「ナスカの地上絵」
または、ナスカ伝説で「月の化身」と言われる鳥のために描かれたものなのだろうか?

ペルーの代表的な世界遺産といえばマチュピチュとナスカの地上絵ですね。
前回、マチュピチュの朝日を見ずして死ぬわけにはいかないという記事を書きましたが、ナスカの地上絵もその超弩級の不思議さは見てみないと実感できません。

「ナスカの地上絵」を分断して走るパンアメリカン・ハイウェイ

広大な砂漠大地に描かれた何百もの台形、四角、三角、直線などの幾何学模様、そして近代美術館に展示されていたとしても不思議ではない、一筆書きで描かれた様々な巨大な動物や鳥の絵は、今もって誰が、いつ、何のため描かれたのかは謎に包まれたままです。

1903年にドイツのドレスデンに生まれナチスの台頭に不安を覚え1932年に故郷を去りペルーに逃れナスカの地上絵の研究に生涯を捧げたマリア・ライヒェは、これらの図形は天空を正確に模倣したものという仮説を唱えています。

「サル」の地上絵

例えば「サル」の地上絵はまるで子供が描いたような自由奔放な曲線で一度見たら忘れられませんが、実は北斗七星の「ひしゃくの柄」の先端にある星、破軍星(ペネトナシュ)が沈む方向を向いています。左右対称で整然と描かれた「蜘蛛」の地上絵の細い胴は、3つ並んだ星を表し、図を貫いている直線は3,000年前に西の地平線に沈むオリオン座の方向を向いているそうです。

ちなみにこの蜘蛛は南米の熱帯雨林の奥地に住むリチズレイという非常に希な種で、足の先に顕微鏡でしか見ることのできない小さな生殖器があり、地上絵にはそれがはっきりと描かれていという説もあるそうです。当時に顕微鏡があるはずもなく、また南米の奥地しか居ない蜘蛛がなぜナスカに描かれているのかも謎です。

「蜘蛛」の地上絵

そして、90メートルの長さがあり比較的はっきりと見ることができる「ハチドリ」のその細長いくちばしの先には滑走路のような幾何学模様と1本の線が交差していますが、12月の至(夏至)の日の出の方向を指しているのだそうです。マリア・ライヒェの説をさらに研究したシカゴのアドラー天文台のフィリス・ピットルーガ博士は、当時の天文学者は歳差運動が星の位置に与える影響を間違いなく知っていたはずと言っています。

さらに博士は一部の地上絵には直線が様々な角度で不自然に貫いているが、それは歳差運動の「追跡」を試みた結果であって、地上絵はそれらの直線がどの星座と関係があるかを示す「ラベル」だったのかもしれないと言っています。無数に描かれた直線の方に実は意味があって、地上絵は単にその標識に過ぎなかったという事のようです。

 「ハチドリ」の地上絵

さらにはコンピューターシュミレーションで2,000年前の春分の日の午後9時頃、ナスカ上空に見られた星座を調べてみると、北に北斗七星(さる)があり、西にオリオン座(蜘蛛)、南にカメレオン座(とかげ)、そしてカメレオン座のそばにはコンパス座、八分儀座、南三角座があるそうで、ナスカにも多くの巨大な三角形が描かれている、そして博士は「天の川」の中とその周辺の星座が「ナスカの地上絵のモデル」だった可能性が高く、絵や線は天空に反映されている星座の歳差運動による変化を観察して、長期の時間を決めるために使われていたのではないかと述べられています。

七夕で1年に1度だけ会える織姫と彦星の地上絵がどこかにある?

さて、晩年はパーキンソン病に苦しめられながらも80歳を超えてもナスカの地上絵の研究と保護・管理を続けたマリア・ライヒェさんはナスカの地上絵の意義について次のように述べています。

「地上絵が教えているのは、古代の人々に関する私達の考えが完全に違っているという事です。ここペルーには、高度に発展した文明があり、数学、天文学の理解も進んでいました。また、芸術家の文明で、人間の霊魂に関する特別なことを、未来の世代が理解できるようにと、表現しています。

ナスカの地上絵が教えているもう1つの事は、近代文明と科学の発達によって全ての自然界の営みが科学的に証明できると思っているのは現代人の大いなる錯覚かも知れないという事、そしてどんな科学技術をもってしても人間の霊魂に関する特別なことはなかなか解明できないという事なのかもしれません。

そして、ナスカの地上絵は天の川がモデルになったとの説ですが、7月7日の「七夕」の夜にだけ会うことができるという織姫と彦星の地上絵も、未だどこかに発見されずに隠れているのかも知れません。織姫と彦星を探しにナスカを訪れてみてはいかがでしょう。

イカから出発する「ナスカの地上絵」の遊覧飛行機

さて、JTBではナスカの地上絵をはじめペルーのすべてを知ると言っても過言ではない考古学者の阪根博先生を、リマ市、天野博物館よりロサンゼルスにお招きして「ペルーセミナー」を開催します。ナスカの地上絵は宇宙人が描いたのか? または月の化身と言われる鳥に捧げられたものなのか? なんて質問もしてみてください!

【ペルーセミナー】
アンデス文明の魅力と不思議 スペシャル講演会
11月8日(土) 午後1時より
JTB ロサンゼルス支店 会議室にて
19700 Mariner Avenue, Torrance, CA 90503
参加費無料・完全予約制
ご予約は旅の予約センター(1-800-700-1540)まで

【参考文献】
天の鏡―失われた文明を求めて
グラハム・ハンコック、サンサ・フィーア

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関 克久

関 克久

Sales & Marketing Div., GM at JTB USA Inc.,
旅行のプロデュースに携わって30年。趣味は写真。「百聞は一旅に如かず」旅に出て初めてわかるのは、実は故郷の良さなのかも知れません。旅は百薬の長がモットーです。
関 克久

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