サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂
~ フィレンツェ の概要 ~ トスカナ州の州都フィレンツェは、「屋根のない美術館」と称される歴史都市。英語名はフローレンス、「花の都」を意味する美しい街だ。ローマの植民都市として発展し、13~16世紀にはメディチ家の支配の下、イタリア・ルネサンスの中心地となった。アルノ川に架かるポンテ・ベッキオはフィレンツェ最古の橋。1982年に「フィレンツェ歴史地区」として世界文化遺産に指定された旧市街には、「花の聖母堂(ドゥオーモ)」と呼ばれるサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂、ミケランジェロやガリレオの墓標があるサンタ・クローチェ教会、サン・マルコ修道院、ウフィツィ美術館、ベッキオ宮などがある。
花の都フィレンツェは、ルネサンスの雰囲気を今も残す華やかな街。 街全体が「屋根のない美術館」と呼ばれるほど、歴史的な教会や博物館などが徒歩圏内に集まっています。カメラを片手にのんびり歩けば、歴史ファンや芸術ファンにはたまらない見どころがいっぱい!
東西に流れるアルノ川は、フィレンツェの繁栄を育んできた大河。この街はローマ植民都市時代、渡河点として建設され、紀元前1世紀には北イタリアとローマを結ぶ要所として発展しました。 川には八つの橋が架かっています。中でも有名なのが1345年建造のポンテ・ベッキオ。複数階建ての構造と、側面に建つアパートの可愛らしい色合いが目を引きます。第二次世界大戦でも破壊を免れ、奇跡の橋と言われているとか。
ポンテ・ベッキオ
川の北側は街の中心地です。まず訪れたいのはサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂(ドゥオーモ)。フィレンツェのシンボル的なゴシック建築で、巨大なドームが特徴です。内部にはルネサンス期のフレスコ画が多数残されています。
大聖堂正面入り口
大聖堂天蓋の『最後の審判』
フランチェスコ派の修道院、サンタ・クローチェ教会。画家ミケランジェロや、天文学者ガリレオ・ガリレイなど、歴史的人物の墓標があります。教会内部の壁面にはドナテッロの彫刻『受胎告知』。ジョットーのフレスコ画『聖フランチェスコ伝』も見逃せません。メディチ家の膨大な芸術コレクションを数多く収蔵するウフィツィ美術館。特にボッティチェリの『ビーナスの誕生』は必見です。
ミケランジェロの墓標
旅のもう一つの楽しみはショッピング。ドゥオーモからポンテ・ベッキオ方面に広がるブティック街には、フェラガモ、プラダ、ブルガリ、グッチ、アルマーニなど有名ブランドがずらり。
アルノ川南側にも足を伸ばしてみましょう。広大な敷地にボーボリ庭園、パラティーナ美術館、銀器博物館などがあるピッティ宮殿。15世紀にピッティ家の邸宅として建設され、16世紀以降はメディチ家の宮殿となりました。ミケランジェロ広場からは、フィレンツェの街並みが一望できます。夕暮れの風景や夜景の美しさは格別。ロマンチックな古都を眺めながら、歴史に思いを馳せるのも一興です。
ミケランジェロ広場から見たフィレンツェの街並み
~ ウフィツィ美術館 ~ ウフィツィ美術館は、フィレンツェの旧市街地にある世界最大級の美術館です。ここはまさしくルネサンス芸術の宝庫。普通なら、いくつもの美術館をはしごしないと見られないような
「教科書に載っている名画」たちが、どーんと一堂に会しています。サンタ・マリア・ノヴェッラ駅から徒歩で約20分。1560年、初代トスカナ大公コジモ1世が、ジョルジョ・ヴァザーリの設計で着工したルネサンス様式の建築物です。1591年から部分的に公開され、近代美術館としてはヨーロッパ最古ともいわれています。この建物には当初、メディチ家の事務局やフィレンツェ公国の行政局が置かれていました。
ウフィツィとは、イタリア語で「事務局(ufficio)」の意味。ここから、英語の「オフィス(office)」という言葉が生まれました。1737年、ルネサンス芸術のパトロンであった資産家のメディチ家が断絶した際、財産の相続人はすべての美術品を寄贈し、一般公開されることを望んだそうです。そうやって財産の散逸を防いだんですね。
美術館は巨大なコの字の形をしていて、2階と3階があり、全体は45の部屋に分かれています。それだけに、1日ですべてを見るのは至難の技。しかも所蔵品には有名どころがいっぱいなので、効率良く回らなければ見逃してしまいそう。まず絶対に見たいのは、ボッティチェリ作『ビーナスの誕生』。ウフィツィ美術館はボッティチェリの絵画を数多く収蔵していることで有名です。
神々を描いた代表作『春』も展示されています。巨匠レオナルド・ダ・ビンチの作品も。聖母マリアに天使がキリスト懐妊を告げる『受胎告知』など。ピエロ・デラ・フランチェスカの対画肖像作『ウルビーノ公夫妻の肖像』、ミケランジェロ作『聖家族』、ラファエロ作『ひわの聖母』、カラヴァッジョ作『バッカス』など、素晴らしい名画ばかり。古代ギリシア・ローマ時代の彫刻や、近代ヨーロッパ絵画もあり、見応えは充分です。 by ST
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