メインといったらロブスターを思い浮かべますが、他にもシーフードの宝庫なのです。冷たい海で育った、オイスターやクラムも新鮮で美味しいことで有名。
通常スーパーなどで売られているウニは鮮度を保つために「ミョウバン」という保存凝固剤がかけられているのでちょっと苦い。個人的にその苦味がちょっと苦手でした。が、ミョウバンが一切かかっていないウニはその苦味がなく甘いんだそうです。殻から取り出したばかりのウニが塩水に漬けられている「塩水ウニ」は2日間くらいしか持たないので産地でしかそれが食べられない!ということで、その「塩水ウニ」を求めて、メイン州はポートランドに日本人が経営するウニ工場があると聞き、はるばる行ってきました!
私が訪れたのはレイバーデーの9月4日。9月から4月くらいがウニ漁の時期だということでちょうど始まったばかりでした。
ポートランドの港沿いにはたくさんのレストランやショップが並んでいます。ちょっとわかりずらいですが、このBecky’ Dinnerという店が目印。ここも人気店でよく人が並んでいます。
ウニ工場はこの店の裏手にあります。一見普通の工場なので、会社名「ISF Trading」と書かれたドアを開けてHello~と叫んでみましょう。誰かしら出てきてくれます
工場では従業員の方たちが忙しそうに箱詰め作業をしています。
日本人の社長、タマキさんは笑顔で迎えてくれました。タマキさんはなぜ、ここポートランドでウニ工場を経営するに至ったのか。。。。波乱万丈の人生話はとても興味深ーく、話に聞き入ってしまいました。
そもそも、アメリカ人にとってはウニは食べるものではなく害虫と扱われる存在。アメリカ人の子供たちがウニを投げつけて遊んでいるのを見て、もったいない、これは売れるぞ!と思ったことから始められたとか。ここメインで採れたウニは日本にも輸出しているようですが、最近はアメリカ国内のSUSHIブームもあって、ウニの需要が多いことから国内のレストランなどで消費されてしまうようです。チリ産のウニなどもここで加工したりしているようですが、メイン産のウニは比べ物にならないほど美味だとのこと。
水族館やいけすでしか見たことがなかった生きているウニ。殻の中からどうやって取り出すのか、興味津々に見ていたら、やってみますか?と。バケツ一杯にごっそり持ってきててくれました。
真ん中にあるのはウニの口
ここから海藻などを食べて育ちます。
従業員の人がハンマーのようなものでガンガン殻を割っていきます。
細いスプーンのようなもので、ウニを傷つけないようにすくい落としていきます。
するっという感覚がたまらなく、なんだかこの作業は病み付きになります。
このウニのの取り出し体験をしながら、雄と雌の見分け方などを教えてくれます。私たちが食べているウニの生殖巣で、雄は精巣、雌は卵巣。ちなみに雄のほうが甘いそうです。
取り出したウニを塩水に漬けて不純物を取り出していきます。
(この方が社長のタマキさん)
取り出したばかりのウニをちょっとつまみ食い。。。口の中でトロっと溶けて、天然の甘さが広がりました。今まで食べていたウニはプリっとしているのが新鮮だと思っていましたが、それはミョウバンという凝固剤によるものだったのです。塩水ウニはどちらかというととろーっとしているのです。
こう見ると色も形も違いますが、それぞれに食感や甘みが違って、きれいに揃って板に並べられて売られているウニとはまた違った味比べの楽しみがありました。もちろんその場で購入して、しっかり保冷剤を入れてお持ち帰りできます。それが目的ですから。。。
そして、帰宅してから作ったメイン産生ウニ丼は最高の味でした~。
アメリカ大陸の最北、メイン州の岩の多い海岸周辺の冷たい静かな海で育ったウニ。美味しいシーフードを求めて、メイン州ポートランドを訪れたら是非立ち寄ってみてください。ただ、お店ではなく工場なので、予め開いているかどうか確認の電話をしてから行かれるのをおすすめします。
by フィオナ
ISF Trading Inc
Hobson’s Wharf
390 Commercial St,
Portland, ME 04101
Tel (207)879-1575
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