ロッキー山脈の高峰が南北に連なるコロラド州。豊かな自然とカウボーイの伝統文化が今も息づいている。コロラドは全米有数の「スキーカントリー」だ。9メートルもの積雪がありながら、年間晴天日はなんと300日。州内には26ものスキー場が点在し、アメリカ屈指のスキーリゾートとして知られる。
■ アフタースキーも面白い。スティームボート・スプリング
白銀の丘に立ち、思いっきり息を吸うと冷気で鼻がつんとした。シャンペン・パウダースノーと呼ばれる、サラサラと乾燥している雪質。雪をぎゅっと握りしめても固まらず、ふっと吹くとばらばらになって飛んでいった。 ロッキー山脈に囲まれたスティームボート・スプリングス(以下スティームボート)の町。州都デンバーの北西に位置するこの町は、開拓時代に駅馬車が大陸横断するときに立ち寄る標高2000メートルの“ワイルド・ウェスト”の要衝であった。スティームボートには、コロラド州で2番目に大きなスキー場がある。滑走コースは140を超え、アメリカで最初にスキーのジャンプ台ができた町と聞いた。オリンピック選手を数多く輩出したのが地元の人たちの誇りだ。
スティームボートとは「蒸気船」のこと。洞窟から湧き出る湯のシュッシュという音が蒸気船の音に似ているから名付けられたという。町周辺には10カ所もの温泉がある。スキーを楽しんだ後、そのうちのひとつ、ストロベリーファーム・ホットスプリングスに行ってみた。スティームボートから車で約20分、露天風呂は雪に覆われたアスペンの森の中にひっそりと佇んでいた。100メートルほど山の上に源泉があり、その温度は摂氏65度。それを川の水で薄めて温度を調節している。水風呂から一番熱い40度の浴槽まで、5つの浴槽がある。外気の温度はマイナス4度。東屋で着替えて、氷のように冷えている床を走りながら浴槽に駆け込んだ。思ったより熱い。湯はやんわりと肌に染み、アスペンの森から吹いてくる冷たい風が心地よい。
スティームボートでのもうひとつの楽しみは、雪原を行く乗馬だ。まさに大西部の町でカウボーイ気分が味わえるツアー。馬はよく訓練されているので初心者でも安心して乗ることができる。長い列を作って牧場を出発した。雪に覆われた緩やかな丘を一列になって進み、アスペンの林の中を抜ける。空は真っ青だが、気温は摂氏マイナス20度。新しい雪の上にはエルク(大鹿)、ウサギやイタチの足跡が残されていた。雪面に描かれる樹木と馬の影。風がアスペンの林を抜けると雪が舞い上がる。馬の動きに身を任せた1時間半の乗馬。コロラドの大自然を体感したツアーだった。
(写真:乗馬ツアーを主催するオーナーのレイ・ハイドさん)
文・写真●森本剛史、Text & Photo by Takeshi Morimoto
協力●JIC旅の販促研究所、取材協力●コロラド州観光局
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