さて、続きの体験記です。
これは、日本館にあるイサム・ノグチの作品。
この作品は水の音を楽しむものなのだそうで、水の音が聞こえやすいような仕掛けになっているとか。石を削って、二面性を同じ向きにみせて出来たこの作品、「自然のものに、人間の知恵が加わって美が現れる」のだそう。さすが芸術家…残念ながらアメリカ館が閉鎖していたので、急遽コース変更して訪れたここは中国美術。
ここはアスター庭園といって、アスターファミリーのミセスブルックという人がメトロポリタン美術館100周年記念に造ったのだそうだ。この作品、墨で書かれた絵かと思いきや…違うんです。さて何でしょう?
下の絵の画家、ヤン・ファン・エイクは約600年前に油彩画法を発明した人であり、油絵をめざす者の目標で、注目のアーティストの1人なのだそうだ。
速乾性でない油絵は、乾かしながら、時間をかけてじっくりと時間をかけて描かれたもの。この巧みな、そして繊細な技術ぞぜひ自分の目でじっくりと見てみて。美しいステントグラスもメトロポリタンのみどころ。
秋の夕暮れ時の紅葉は色合いがみごと。そのすぐ近くにはティファニーのステントグラス。朝日のシーンに書かれた藤棚。この背景のピンクは日本の桜のよう。ため息がでるほど美しいのでぜひお見逃しなく!ここはメトロポリタンの中心部、ルネッサンス彫刻。
この時代の彫刻は金粉でデコレートされているのですが、この彫刻は木がそのまま使われています。この像の後ろ側を見てください。とても細かい…これはエドガー・ドガの作品
フランスの日常の風景。この絵の色使いにはさりげなくフランスを思わせる部分が…そして、もう一つ。鏡に映っているものに注目。これはポールセザンヌの作品。
実はこの絵、かつてモネが持っていた作品なのだそうだ。モネの作品は輪郭がぼやけているのが特徴だが、これは再ペイントされ、輪郭がはっきりとしている。これは現代アート。
ほとんどの人がこの絵を見て「なんだこりゃ?」と思うのではないでしょうか。しかしガイドさんいわく、「ここがニューヨークだからこそ、これをみてほしい」と。ヨーロッパにないアートを増幅させようとして誕生したドリッピングという方式。この絵はニューヨークで誕生した絵なのだそうです。そして、これがニューヨークなのだ…と。さてこの絵に込められた意味とは?この意味を聞いて、初めて私はこれらの「めちゃくちゃ」に見える現代アートや抽象画にもちゃんと意味があるのだと言う事を納得した感動の瞬間。かなり印象に残りました。
そして、約2時間のツアーが終了。ツアーに参加したみなさんのひとりひとりが「すごくおもしろかった!」と大満足げ。私は絵画の知識がゼロなので、良さも楽しさも今までまったく理解できなかったのですが、このツアーに参加したおかげで、その作品の良さ、作品に込められたメッセージなど絵画の見方がなんとなく分かったような気がしました。絵画に興味のない方でも、このツアーに参加したら謎がとけたり「なるほど!」と思える発見があり、とても楽しめると思います。
ツアー終了後、ガイドの橋本さんが少しお話をしてくれました。お客さんに「しょっちゅうここに来て、飽きませんか?」とよく聞かれるそうですが、全然飽きないのだとか。その理由は「型を決めてしまうと同じ説明になってしまって飽きるので、型を変えて毎回違う方法でガイドをしている」からなのだそうです。どうしたらお客さんも自分も絵を楽しめるのかを考えながらガイドしているといい、そして、いろいろなことを説明しているとき、「あ、もしかしたらこの作品にはこういう意味もこめられているのかもしれない」とか「この絵とあの絵は実はつながっているのだ」と突然閃くことがあるのだそうです。
ニューヨークが人種のサラダボウルと言われるように、メトロポリタンも世界各国の色々な文化が入り混じったサラダボウルで、そこがメトロポリタン美術館の良さなのだそうです。ぜひみなさんも参加してみてください。
【メトロポリタン美術館解説ツアー ~体験記~ その①を見る・・・・・】
【ご注意:ご覧いただく作品は日によって異なります】