4人の大統領の巨大な胸像のあるマウントラシュモアは有名ですが、同じブラックヒル州立公園内、マウントラシュモアから27kmの所に、今も彫り続けている、さらに巨大な彫刻がクレイジーホース記念碑です。
ラピッドシティー周辺は、スー族のラコタ族のインディアンが多かったとのことですが、そのラコタ族の酋長ヘンリー・スタンディング・ベアが彫刻家コルチャック・ジオルコウスキーにマウント・ラシュモアより大きなクレージーホースの彫刻を造って欲しいと依頼したことが発端でプロジェクトがスタートしたそうです。
コルチャック氏は1982年に74歳で亡くなりましたが、彼の10人の子供のうち7人が彼の遺志をついで現在も彫り続けているという、壮大なプロジェクトです。顔の部分はほぼ完成していますが、全部が完成すると高さ170メートル、長さが195メートルと正に世界最大の彫刻となるとの事。
ビジターセンターは、マウントラシュモアと比べると手作りの感がありますが、それもそのはず、自費と寄付で進めている家族プロジェクトなのだそうです。
政府からの援助は「国民の税金は使わせたくない」「政府の意思で中止になる危険性もある」とのコルチャックの遺志を踏襲してきっぱり断り、今でも民間からの寄付とここでのギフト販売、入場料のみで運営しているとの事。
皆んな「完成はいつ頃?」との質問をしますが、答えは…「わからない、20年後かもしれないし、50年後かもしれない」との事。7人の子供は皆、この仕事を生涯のものとして、この地でコルチャックの遺志を継げる事に意味があるのだそうです。
やっと顔が完成し、腕の下の穴を開けるところまで進んでいますが、どうみてもまだ全体の10%位しか出来てない感じで、あと50年位はかかるのではないでしょうか?
ツアーバス($4)で馬のひずめのあたりの高さのところまで行くことができます。この辺には将来、大学を建設するという、これまた壮大な計画があります。
このゲートは子供のためにいろんな動物を彫り込んだものでコルチャックの最後のプロジェクトだったそうです。この他にも、彼が残した作品の数々が展示されていますが1人の人間がこれだけの事を成し遂げられることには、驚くばかりです。
クレージーホースはたった一人で彫り始めたわけですが、最初の7年間はまずは丸太の家作りと700段の足場を造る事で終わったそうです。足場の完成後はこのコンプレッサー(ブッダという名前)からのホースを足場の上まで運び、ダイナマイトを仕掛ける穴を開ける作業をしたそうですが、エンジンが1日に何回も止まり、700段の階段を1日のうち何度も上り下りしたとの事。気の遠くなるような話です。
ビジターセンターのテラスには完成後のクレージーホースの彫刻が置かれていて、本物のクレージーホースとダブらせて、皆、写真を撮っていました。下の彫刻はコルチャックが最初に彫ったクレージーホースの顔です。
この他にコルチャックの作品が沢山展示されていました。
ここには、Indian Museum North America が隣接していて、先住民族のあらゆる部族の旗や貴重な展示物を見ることができます。ここにある展示物の90%は寄付によるものだそうです。
スー族、ラコタ族の伝統派の人たちは、「美しい自然の山を破壊し、像にすることはクレージーホースの精神に反している、そもそもスー族の戦士は個人集団で指を指すような事はしなかったし、これは白人の抱くインディアンのイメージだ」、とこのプロジェクトに反対する人も多いのだそうです。確かに伝統派の人たちの言い分も一理あるのでしょうが、いずれにしてもこんな壮大な気の遠くなるようなプロジェクトが、1家族で進められている事がとてつもない事で、ただただ驚くばかりでした。
[geo_mashup_map]
【参照サイト】
・マウントラシュモア国立記念公園の見どころ・楽しみ方
・マウントラッシュモア/アメリカのもう1つの象徴
・人気の添乗員「堀ちえみ」のイエローストーンへの旅のお誘い
・バッドランズ国立公園 50万年の歳月が生み出した荒野
・ワイルド・ウェストのアウトローの町「デッドウッド」
・サウスダコタの観光はラピッド・シティーから!
・ウォール・ドラッグ テッドとドロシーが始めた家族ビジネス
【関連ツアー】
・イエローストーン、マウントラッシュモア、グランドティトンと化石採集5日間
・フライ&ドライブ、マウントラッシュモアとイエローストーン国立公園 5日間
・フライ&ドライブ、マウントラッシュモアとデビルズタワー 5日間