フランク・ロイド・ライトといえばアメリカ建築史のパイオニアであり、近代建築の三大巨匠の一人とも言われています。
彼の作品はシカゴを中心に全米各地で見ることができますが、その中でも傑作といわれているのが1935年に完成したライト晩年の作品『Fallingwater (落水荘) 』。
広いペンシルベニア州の南西に位置するピッツバーグ市内から南東に約70マイル先、豊かな緑の中に、エドガー・カウフマンの邸宅として1935年に建てられました。
1964年から一般公開されていますが、現在は完全予約制のガイドツアーでのみ見学することができます。
今回は90分の『Guided House Tour』に参加してきましたので、ご紹介したいと思います。
まずはビジターセンターでチェックイン。
建物内は通路が狭いところもあり、大きな荷物は持ち込むことができませんので、貴重品以外は無料のコインロッカーに預けます。
チェックインの際にグループ番号が書かれた紙がもらえますので、自身のグループ番号がアナウンスされたら、ツアー開始。
緩やかな坂を下り、繊細な滝の音が聞こえてきたら、美しい緑の先に姿を現します。
この角度ではまだ、『落水荘』の呼び名の所以がわかりません。
四方に張り出す大きなテラスが特徴的な外観です。
(今回参加したツアーでは建物内の撮影が禁止されておりますので、ここからは文章のみで失礼します・・・。『In-Depth Tour』という2時間のコースでは、全ての部屋の見学と内部の写真撮影が可能です。)
中に入ると、岩盤の床の広いリビング・ダイニングが広がります。
天井はわざと低めに、全体的に水平方向を強調したデザインで、広い窓から広がる自然を座ったときの視線の高さで楽しむような造りになっています。
驚くのは、建物の中にいるのに、ふんだんに降り注ぐ光とそよ吹く風、滝が岩を打つ音を全身で感じることができるのです。
もはや住居の概念を超えた異空間。
このリビングの脇には、滝に降りることができる階段があるのですが、なんとあのアインシュタインもカウフマン邸を訪れた際にこの階段から滝へ飛び込んだ、という逸話があります。
階段を上ると、ベッドルームや書斎など、いくつも部屋があり、90分のツアーでは全てを見ることはできませんが、それぞれの部屋の造りやこだわりについてガイドさんが説明をしてくれます。
ひとつひとつのお部屋は決して広くはないのですが、外に面した壁はその多くを窓に使い、やはりリビングと同様、屋内にいながら自然の中にいるような一体感を感じさせてくれます。
特徴的な広いテラスに出てみると、手を伸ばせば木々に触れられそうなほど、さらに自然を近くに感じることができます。
本館の奥には渡り廊下で繋がるゲストハウスがあり、こちらも見学することができます。
かつてアインシュタイン、チャップリンもここに泊まったといわれています。
ここでツアーは終了。
あっという間でしたが大満足の90分でした。
私の参加した回はリピーターの方が多く、中には3回目とおっしゃっていた方もいらっしゃいました。
ツアーが終了すると、“View spot”の案内に沿って進みます。
ここへ来ると、やっとお馴染みのアングルの写真を撮ることができます。
家が滝の上に建っている。
滝が家から流れている。
まさに『落水荘』の名の由来がお分かりいただけると思います。
旧帝国ホテル(現在は玄関部分が愛知県の博物館明治村に移築されています。)など、日本にもいくつかの作品を残しており、かなりの日本好きとしても知られているライトですが、とりわけ愛していたのは浮世絵でした。
シカゴ郊外にあるライトの邸宅にもいたるところに飾られており、この落水荘も、葛飾北斎の『諸国瀧廻り』という作品からヒントを得たという説もあるほどです。
建築に興味がある・なしに関わらず、落水荘はわざわざ足を運んで訪れる価値のある場所だと思います。
これから秋を迎え紅葉が始まると、また一味ちがった魅力を放つでしょう。
あまり知られていませんが、この落水荘から車で約15分ほどいったところに『ケンタック・ノブ (Kentuck Knob)』といったライトの作品がありますので、お時間の許す方はこちらもぜひ、訪れてみてください。
2017年には生誕150周年を迎えましたが、時代を超えて、国を超えて愛される彼の足跡をたどる旅に出かけてみませんか?
今回ご紹介した落水荘へのご旅行をお考えの方は、ぜひルックアメリカンツアー (212-424-0800、look@jtbusa.com) へご相談ください。
By Miu
Fallingwater
1491 Mill Run Rd,
Mill Run, PA 15464
https://www.fallingwater.org/
【関連記事】
・アメリカ国歌「星条旗」の歌詞が生まれた場所、ボルチモアに行ってみよう!
・海と歴史とグルメを満喫 !メリーランド州の州都アナポリスは週末も大人気!
・ワシントン マウント・バーノン ★古き良きアメリカを訪ねる
・「国立航空宇宙博物館」別館『スティーブン・F・ウドヴァーヘイジー・センター』
・スミソニアン航空宇宙博物館 〜ワシントンで2番人気の必見の博物館〜
・独立記念日 〜ニューヨークからバージニアのウイリアムズバーグへ〜
・アムトラック/アメリカ東海岸回廊を旅する〜ワシントン-ニューヨーク-ボストン〜
・アムトラックで行く首都ワシントン1日観光 体験記 その①
・不気味でノスタルジックな、ウエストバージニアの旧トランス・アレゲーニー精神病院