いよいよ皆既日食の日がやってきました!
今回の皆既日食はアメリカ大陸を横断することから「Great American Eclipse」と呼ばれ、全米中で大騒ぎ!
皆既日食が見られる皆既帯の住民は約3100万人、外から押し寄せた見物客も100万人を超えると推定されていました。
まさに皆既帯にあるダラスは世界中から多くの観光客が訪れ、交通マヒやパニック状態になるということから非常事態宣言が出されたり、当日はどのようになるか予測不可能な状態。。。
観測地はココ↓
皆既帯の中心にほど近いGrandviewという小さな村にある牧場(Beaumont Ranch Resort)が観測地です。
この日まで天気予報とずーっとにらめっこ。
10日前までは、雨(しかも嵐)の予報でした。
少しづつコロコロと予報が変わり、前日の時点では「曇り時々晴れ」の予報。
しかし、日食終了直後は嵐(Severe Storm)が来るので要注意!とのこと。
もしかしたら曇の切れ間から皆既日食が見られるかもしれない!というかすかな希望をもちながら迎えた当日。
ダラスから1時間半ほど南下したGrandviewというところにある牧場が観測地なので、渋滞を予想して朝早く7時に出発。
出発時のダラスは晴れ。お、先行き良好か?
バスから日の出を見て、あの太陽が午後には月と重なるのね、と思いを馳せながら。。。
しかーし、南に向かって行けば行くほど雲がだんだん厚くなり、霧ががって地平線も見えない状況😢
バスの中はだんだん重い空気が流れていきます。。。。
観測地の牧場に着くと色鮮やかなオレンジ色のインディアン・ペイントブラシ(Indian Paint Brush)と呼ばれる花と、テキサス州花の紫色の花ブルーボネット(Blue Bonnet)が迎えてくれました。
可憐なテキサス州花Blue Bonnet
ダラスでは晴れていたのに観測地到着時、空はこんな感じ。厚い雲に覆われています。暗雲たちこめるとはこのこと。。。?軽く霧雨も降っています。
牧場のオーナーRonさんが迎えてくれました。
「午後にはきっと晴れるよ」と笑顔で言ってくれたことが、半信半疑ながらかすかな希望でした。
ダラスの方が晴れていたのと、予報もテキサスの北の方が天気が良好だった為、この時点でダラスに戻ることを希望され、ダラスのホテル周辺から皆既日食を観測された方もいらっしゃいました。
日食開始まではあと4時間ほど。みなさんそれぞれに広大な牧場の中で時間を過ごされていました。撮影のセッティングをしたり、散歩やランニングをしたり、レジャーシートを敷いてピクニック気分でのんびりされたり。
また、オーナーの娘さんShellyさんがカートで何組かに分けて、牧場内を案内してくれました。
結婚式を挙げる小さな教会
オールドタウン。ここは宿泊施設ですが、皆既日食観測に来られたお客様で満室でした。
放牧されている牛たち。もちろん角の長いテキサスロングホーンですね。
そして時間が経つにつれ、雲が切れ、空がどんどん明るくなってきたではありませんか~!見事に天気予報ハズレー。
【グランドビューでの皆既日食のスケジュール】
2024年4月8日(月)
接触開始:12時21分49秒
日食開始:13時39分09秒
***最大日食:13時41分14秒***
日食終了:13時43分18秒
接触終了:15時01分30秒
※上記はCDT(アメリカ中部時間)
なんと!接触が始まる頃にはこんな感じに晴れてきました。
日食が始まると月が太陽を隠し始めますが、まだまだこの明るさ。
日食メガネを通して、太陽が月と重なり始め、太陽が欠けていくのが分かります。
360°パノラマの広大な牧場を独り占め!貸し切り状態で、これから起こる天体ショーに臨みます。
今回の日食時は太陽がかなり高い位置にあるので、首が痛いくらい空を見上げなくてはいけないのですよね。。
蒸し器を使ってピンホール実験。
通常ですと太陽の光が蒸し器の丸い穴を通って、白い紙に丸い太陽の像が映りますが。。。
はい、この通り、日食が進んでいるので、見事に欠けた三ケ月のような太陽の像になっていますね。
全身で日食パワーを浴びる方も。気持ち良さそうですね。
そうこうしているうちに、少しづつ暗くなってきて皆既日食の時間になりました。
5,4,3,2,1とカウントダウン!
空気がひんやりとしてきて、空が急激に暗くなりました。
地平線の辺りが夕焼けのような色になり何ともいえない幻想的な色を醸し出します。
太陽の右には金星、左には木星なども見えてきました。
鳥は一瞬さえずりを止めましたが、ちょっとパ二くって?また鳴き始めます。
前の池のカエルが夜と間違えてゲロゲロと鳴き始めました。
肉眼でもドーナッツ状の太陽と月を見ることができ、自分のいる地球、月、太陽が今一直線上にいるのだという宇宙との一体感を感じます。
言葉では言い表せない感動がここにあります。。。
ここまでは皆既日食の「体感」を綴ってきましたが、この4分9秒の間に太陽の周りで起こった現象は天体映像でご覧いただけます。
今回ご参加者の中には日本からものすごい装備の撮影機材を持参され、プロフェッショナルな天体画像を撮影されていた方も多くいらっしゃいました。
あまりにも素晴らしいので、その中でご参加者の方が撮影された画像をご紹介させて頂きます。
貴重な画像を快くご提供して頂いたことに心より感謝いたします。
太陽と月が完全に重なった感動の瞬間!
放射線状の輝くコロナが本当に美しい。
このコロナの状態は皆既日食の毎回違うようです。
月が凸凹だということがわかりますね。
月のクレーターのの凸凹から光が漏れて点々のように見られる貴重な現象「ベイリービーズ(Baily’s Beads)」
ダイヤモンドのネックレスとも言われ、本当に美しいですね!
噴き出しているプロミネンスも色鮮やかに見えます。
そしてフィナーレは美しいダイヤモンドリング。
ダイヤモンドのように太陽が顔を出した瞬間、つい、わーっと声を上げてしまいました。太陽が放った光が実にまぶしくて本当に太陽の力を実感。そしてこの太陽が光り輝く明るい空に徐々に戻っていくのでした。
この感動の余韻に浸りながら、テキサスバーベキューランチ。
テキサス独特の調理法でゆっくり時間をかけて直火で調理した牛肉のブリスケットはスパイスが効いていてとてもスモーキーな味。テキサスの牧場の素朴な家庭の味を楽しみました。
そうそう、皆既日食中、牧場の牛たちは夜のように一か所に集まり身を寄せ合っていました。そしてなんとこの皆既日食の最中に牛の赤ちゃんが生まれたのです!やはりなにか宇宙からのパワーがすごかったのかもしれないですね。この赤ちゃん、名前はNOVA(ラテン語でNEW)と名付けたそうです。生まれたてほやほやのかわいい赤ちゃん、Eclipse Baby誕生おめでとう!
最後の夕食は、テキサス州がかつてメキシコ領だった頃の名残り、テキサス料理とメキシコ料理が融合したテクスメクス料理のビュッフェディナー。
みなさんの願いが叶い、天運に恵まれて皆既日食が見れたことに感謝とお祝いしながら、マルガリータや地ビールで乾杯!
そして皆様の話題はすでに次の皆既日食のことに。。。
今回のツアーのご参加者には皆既日食観測をもう何回も経験されていた方が半分以上いらっしゃいましたが、皆既日食は見るところによって毎回見え方が違うようです。
これは体験した人にしかわかりませんね。
筆者はこれまで部分日食は見たことはありましたが、99.9%の部分日食と100%以上の皆既日食は全然違う!とずーっと言われていた意味が今回よーくわかりました。
皆既日食が観測できる「皆既帯」にはるばる足を運ぶ価値があることも。
そして皆既日食を追いかけている方がたくさんいらっしゃることにも納得です。ちなみに皆既日食を追いかける人のことを「Umbraphile」(Umbral=影、Phile=愛する)というそうですよ。
こうして一度美しい皆既日食を見た人は感動が忘れられず、またもう一度見たくなる衝動にかられる「日食病」になっていくのですね。。。
一生に一度できるかどうかわからない、この感動の体験。
宇宙の神秘とパワーを感じ、地球レベルを超えた旅となりました。
今後の皆既日食は2026年8月 スペイン、アイスランド、グリーランドにて、2027年8月 チリ、アルゼンチン、大西洋などで見られます。日本で皆既日食が見られるのは2035年、アメリカ大陸では2045年。さぁ、次はいつどこでだれと見ますか?
この度はたくさんの方にツアーにご参加頂きありがとうございました。
また、当ブログではご参加者の方からご提供頂いた写真を多く掲載させて頂きました。重ねて御礼申し上げます。
ツアー1日目のブログはこちら↓