約5か月振りに再オープンした近代美術館(MoMA)にて、現在、フェリックス・フェネオン(Felix Feneon)の特別展が開催されています。
題して、『フェリックス・フェネオン / アナーキストとアバンギャルド / シニャックからマティスまで、そしてそれを越えて』
題して、『フェリックス・フェネオン / アナーキストとアバンギャルド / シニャックからマティスまで、そしてそれを越えて』
フェリックス・フェネオンは、近代美術史における最も影響力を持った人物の1人でありながら、その存在はあまり知られていません。フェリックス・フェネオンとは何者なのでしょうか?
フェネオンはフランス芸術の評論家であり、編集者であり、出版者であり、ディーラー、コレクターであり、そして、19世紀末から20世紀初頭にかけてパリで活動したアナーキスト(無政府主義者)でした。アナーキストでありながら、表向きは官僚として働いていた時期もありました。
彼は50年以上に渡り、精力的にアバンギャルド・アート、文学、政治を、表からではなく裏方として提唱しました。今回の展示会は、その一筋縄ではいかないフェネオンが所有し、世間に推した見事なアート作品の数々をセレクトして紹介します。
スーラ作
評論家としてキャリアをスタートさせた彼は、1880年代と1890年代に多数の進歩的な刊行物に寄稿しました。1886年には、彼が熱烈に支持した数多くの近代芸術家のさきがけであるジョルジョ・スーラとポール・シニャックの作品を言い表すために、『新印象派』という言葉を作りました。
20世紀初頭にフェネオンはアートディーラーになり、アンリ・マティスを見出して特別契約を結ぶなど、新世代のアーチストたちと密な関わりを持ち、パトロンとしても上記3人に加え、ピエール・ボナールやアメデオ・モディリアーニを含む多数のアーチストによる絵画のコレクションを築きました(ちなみに今回の展示会では、本来、門外不出であるシカゴ美術館所有のスーラ作品の縮小版が展示されています)。
そしてまた彼は、アフリカ、オセアニア、南北アメリカ大陸のアートに、ヨーロッパ人として最初に着目したコレクターの1人でもあります。
1894年に、政治的な爆弾テロに関与したとして逮捕されたフェネオンの無政府主義思想は、より公正で調和した世界において、アートが原理的な役割を担うことができるという信念を形成しました。
新聞記者として活動した時期もあり、その時は『三行ニュース』で評判を得ました。限られた行数内で淡々と事実だけを記述しているようで、人を食ったようなドライでダークなユーモアが漂うニュース記事のいくつかも展示されており、以下のような内容のそれら記事を読む来館者からは忍び笑いが起こっていました。
「M. ジュール・ケルズロは、スポーツクラブの社長であったにもかかわらず、リュエイで市電に飛び乗ろうとし、それに轢かれた」
「終身重労働の刑が下った殺人犯レブレは自慢げに叫んだ。『(犯行を)もっとひどくすることだってできたんだ!』」
「イエールにあるパキエ工場の塩製造人たちは、自分たちの製品に香りを加えたい。その達成に向けて彼らはストライキを行う」
同展は2021年1月2日まで開催予定。
ニューヨークでは皆で一致団結し、ウイルスを抑え込むことに成功しました。現在、経済再開も進んでおりますので、皆様のお越しを心よりお待ちしております。
by シュバリエ・ド・バリバリ
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